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「字が小せぇ!」と言われないために——現場の『何か違う』を防ぐコミュニケーション術

  • 執筆者の写真: キタさん
    キタさん
  • 6月23日
  • 読了時間: 4分

こんにちは、キタさんです。


私、工場や生産現場をサポートするシステム、ソフトをよく作らせてもらっております。


さて、世の中には「お互いの認識のズレ」から生まれるトラブルが絶えません。「夕飯は適当でいいよ」と言われたから素麺を出したら、「もっとガッツリしたものが良かった」と文句を言われる。皆様も一度はご経験があるんじゃないでしょうか。


実はこれ、私どものシステム開発の世界でも日常茶飯事でして。特に設計段階の「仕様」や「画面イメージ」の認識というのは、まぁ見事にすれ違うのでございます。


本日は、そんな「仕様共有の難しさ」について私が大事にしていることを、実際の体験も交えながら少しお話しさせていただこうかと思います。



「良い画面」とは?


余白はいらない、とにかくデカく!

私のような開発の人間というのは、どうも「スタイリッシュで美しい画面」を作りたがる傾向にあります。今風のフラットデザインで、余白をたっぷりとって、文字は控えめなグレーで……なんて悦に入って設計書をお客様に見せるわけです。


ところが、実際に現場でシステムを使う方々に見せると、こう言われます。


なんだこの画面、字が小せぇ! この無駄なスペース(余白)を詰めて、とにかくボタンをでっかくしてくれ!

現場の方々は、手袋をしながら画面を操作したり、少し離れたところから画面を確認したりします。私たちにとっての「美しい余白」は、現場にとっては「もったいない隙間」になってしまうことも多いです。


もちろん、すべての現場がそうだというわけではありません。だからこそ、実際に使う人が「何を重視しているか」を聞き、現場の環境を想像することがとても重要だと痛感しました。



専門用語は「呪文」でしかない


ポカーンとするお客様

もう一つのしくじりが、「言葉の壁」でございます。 私、ある時の打ち合わせで、生産技術のご担当者様にドヤ顔でこんな説明をしておりました。


「ここはPLCのレジスタを一定周期でポーリングしてデータを拾いまして、上位システムとハンドシェイクしながら、インターロックをかけてHMI側の表示を更新しますんで……」 ふとお客様の顔を見ると、完全に目が泳いでいらっしゃいます。魂がどこか工場の天井付近へ飛んでいってしまったようです。


ソフトウェア開発者にとっての日常語は、機械や製造のプロであるお客様にとってはチンプンカンプンな呪文でしかありません。専門用語を並べ立てれば並べるほど、相手は「よくわからないから、ソフト屋さんに任せよう」と、考えるのをやめてしまいます。


その結果、いざ設備が組み上がって試運転の段階になってから、「えっ、そういう動きになるの? 思ってたのと違う!」という悲劇が生まれるわけです。


「PLCのレジスタをポーリング」ではなく、「機械のデータを1秒ごとに見に行きまして」と言い換える。専門用語を使わずに、いかに相手の土俵の言葉に翻訳して伝えられるか。これも私たちの腕の見せ所でございます。



「どうしましょう?」ではなく「こうしませんか」


提案してこそプロの仕事

仕様を決める際、細かい部分の確認でついやってしまいがちなのが、「ここ、どうしましょうか?」とお客様に聞いてしまうことです。


お客様にしてみれば、システムの細かい動作なんて聞かれても「そんなの知らんがな、いい感じにしてよ」と思うのが本音でしょうし、いちいち確認していては、お互い時間もかかってしまいます。


ここで大事なのは、「どうしましょう?」ではなく、「こういう理由で、A案とB案がありますが、こうしませんか?」とこちらから提案することです。


叩き台を作り、選んでもらう。あるいは「こうすべき」と導いていく。これができて初めて、意味の取り違いや抜けを防ぐことができるのでございます。



重要なのは「現場の声を聴き、想像すること」


さて、いろいろとお話ししてまいりましたが結局は、「お客様が本当にやりたいことができているか」、そして「実際に使われている現場で快適に操作できるか」ということに尽きます。


ソフトを一番長く触るのは開発している私ではなく、お客様です。一見問題なく操作できるように見えても、少しの動作の遅さや、一つのメッセージウインドウの表示が煩わしく感じることになるでしょう。


画面の見た目や、小難しいIT用語なんてものは二の次、三の次。 設計書とにらめっこする前に、まずは現場の方々の声をしっかり聴く。そして、「あの工場の中で、どんな風に画面を触るんだろう?」と、現場に寄り添って想像する。


この「想像力」と「傾聴力」が抜けてしまったら、どんなに最新のシステムを作ったところで、現場にとっては「使いにくいシステム」になってしまいますからね。


私もまだまだ修行中の身。次回の打ち合わせでは、頭の中に工場のラインをしっかり思い浮かべながら、お客様の「本当にやりたいこと」を形にしてまいりたいと思います。


……おや、あそこにいるお客様、私の長話に飽きて、本当に魂がどこかへ行ってしまったようだ。 「もしもし、お客様、しっかりしてください!」 「いやぁ、あんたの話を聴いてたら、現場の動きがリアルに『想像』できちゃってね。……あ、でも、私の財布の中身が『空(から)』になる仕様だけは、勘弁しておくれよ?」


最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。


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